ちょっと気になるパワーの話
第6弾

“走行抵抗負荷って何?”
今回はちょっと複雑だけど車が走る時に邪魔になる走行抵抗負荷について考えてみます。複雑な走行抵抗負荷をシャシダイナモメーターで掛けられるの?


シャシダイナモの仕事をしていて 最近気になる事があります。
”車が走る時の走行抵抗が掛かります”って言うシャシダイナモを見ても
とてもそんな風には見えません 走行抵抗はただ負荷が掛かるだけでは
いけないんです。
車ごとに きちんと掛けるべき走行抵抗負荷が有ります。

一番わかりやすい例は
ガソリン 1リッターで何キロ走行出来るかを競う ”エコラン” 
見るからに抵抗が少なそうな流線型の車体に 横Gが掛かったら
壊れてしまいそうな細いホィールとタイヤ
なぜあんな形なのかは 言うまでもなく皆さんご存じだと思います。

そうです 流線型は走行時の空気抵抗を少しでも減らすため 細いタイヤは
転がり抵抗や空気抵抗を減らすため さらに小さな馬力で車体を走らせる為に
車体を極限まで軽くして居ます。

走行抵抗は車の外観形状や重量、タイヤの形状、向かい風、追い風など風の強さや向き
空気密度、登り勾配、下り勾配、路面の荒さ などにより変化する やっかいな負荷です。
そのうち一番大きな要素は 走行風による抵抗です。
走行風による負荷は速度が上がれば上がるほど大きな負荷となっていきます。

車の形状や大きさで異なりますが 計算上では

普通の乗用車が100km/hで走る時 車が受ける抵抗は 約110kg程になります。
しかし200km/hで走る時は 約380kgと非常に大きな抵抗となります。
ですから レース用の車などは空気抵抗を少しでも減らす工夫がなされています。

実際の走行抵抗とはちょっと違いますが・・・・。
車を速く走らせるための要素としてホィールの軽さがあります。
重たいホィールでは車全体の加速やサスペンションにも影響を与えます。

話が少し逸れてしまいました

最近の負荷装置付きのローラー式シャシダイナモメーターは 走行抵抗負荷が
自動的に計算され リアルタイムで速度に見合った抵抗負荷が掛けられて居ますので
ただ負荷が掛かるだけでは無く まるで 実際に道路を走っているのと同じです。
今まで難しいとされていた AT車の計測や調整も可能となってきました。

シャシダイナモメーターを使用する事が一般的な 欧米ではローラー式が当たり前と
なっています。 その理由は ”道路を走る状態でなければ意味がない” からです。
殆どの自動車メーカーやチューニングメーカーがローラー式を使用しています。

近い将来日本でも 負荷装置付きのローラー式が主流となるでしょう
自動車メーカーや公の工業試験所などでは すでにローラー式シャシダイナモ
メーター しかも惰行運転や下り坂の試験も出来るのが当たり前となっています。
欧州では 有名な F1チームでもローラー式の使用が確認されています。

ちょっと気になるTOP 2010年7月